瓦と漆喰の工事はいつ必要？雨漏りのリスクと費用対効果を解説

築年数が経った瓦屋根のメンテナンス時期が気になる、費用対効果を重視する方へ。
瓦屋根の漆喰が剥がれてきた際に、どの程度まで放置して良いのか、いつしっくい工事をすべきか悩んでいるのではないでしょうか。
この記事では、瓦屋根の漆喰の役割や雨漏りとの関係性を解説します。

□瓦屋根の漆喰の役割と雨漏りの関係

瓦屋根の漆喰が剥がれると雨漏りが起こる、そう思っていませんか。実は、漆喰の剥がれと雨漏りは必ずしも直結するものではありません。

1: 漆喰の役割

瓦屋根の漆喰は、棟瓦を固定し、雨風から保護する役割を担っています。
漆喰は、施工直後は柔らかく、乾燥するにつれて硬度・強度が増していく性質を持っています。
そのため、棟瓦のように複雑な形状の箇所にも柔軟に対応できます。
また、接着機能と防水性を兼ね備えているため、棟瓦を雨風から守ると同時に、周囲の瓦を固定してズレを防ぐ役割を果たしています。

2: 雨漏り発生までのメカニズム

漆喰が剥がれても、すぐに雨漏りが起こるわけではありません。
漆喰の下には、葺き土と呼ばれる土が敷き詰められています。
葺き土は、瓦と漆喰の間に入り込む雨水を吸収し、棟の中心部へ流れるのを防ぐ役割を担っています。
雨漏りが発生するには、漆喰が剥がれた後に、強風雨によって葺き土が浸食され、水が棟の中心部まで到達する必要があります。
風を伴わない雨は、のし瓦で排水されるため、葺き土は浸食されません。

3: 雨漏りが起こるまでの期間

強風雨による葺き土の浸食は、年間に数回程度です。
そのため、漆喰が剥がれてから雨漏りが発生するまでには、数年以上の期間がかかる場合がほとんどです。

□漆喰工事が必要なタイミングと費用対効果

では、どの程度漆喰が剥がれたら、工事をすべきなのでしょうか。

1: 漆喰剥がれの状態別の雨漏りリスクと費用対効果

漆喰剥がれの状態によって、雨漏りリスクと費用対効果は大きく異なります。
具体的な事例と画像を交えながら、工事をすべきタイミングを判断するためのポイントをご紹介します。

・漆喰の一部が剥がれている場合
漆喰の一部が剥がれていても、すぐに雨漏りが起こるわけではありません。
しかし、放置すると、雨水が浸入しやすくなり、将来的に雨漏りのリスクが高まります。

・しっくい全体が剥がれている場合
漆喰全体が剥がれている場合は、雨漏りのリスクが高まります。
特に、葺き土が露出している場合は、早急に工事を検討する必要があります。

・葺き土が浸食され、穴が開いている場合
葺き土が浸食され、穴が開いている場合は、雨水が棟の中心部まで浸入しており、雨漏りが発生しています。
この場合は、早急に棟部の葺き直しを行う必要があります。

2: 葺き直しなどの選択肢

漆喰工事以外にも、瓦屋根のメンテナンスには、葺き直しや塗装などの選択肢があります。
それぞれの費用対効果を比較検討し、最適な方法を選びましょう。

・葺き直し
葺き直しは、瓦屋根全体を新しく葺き替える工法です。
費用は高額ですが、屋根の寿命を延ばせます。

・塗装
塗装は、瓦屋根に塗料を塗る工法です。
葺き直しに比べて費用が安く、雨漏りを防ぐ効果もあります。
ただし、塗料の種類や施工方法によっては、効果が限定的な場合があります。

□まとめ

瓦屋根の漆喰は、雨風から屋根を守る重要な役割を担っています。
漆喰が剥がれても、すぐに雨漏りが起こるわけではありませんが、放置すると雨漏りのリスクが高まります。
工事が必要かどうかは、漆喰の剥がれの状態、雨漏りリスク、費用対効果などを総合的に判断する必要があります。
この記事を参考に、ご自身の瓦屋根の状態を正しく把握し、最適なメンテナンス方法を選択してください。